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技術士を目指そう!読んでトクする技術士の話

技術士とは何か

「技術士とは何か?」

既に技術士になっているものにとっても、なかなか難しい質問です。これが例えば「医師とは何か?」あるいは「弁護士とは何か?」といった質問であれば、だれもがある程度はイメージを持つことができます。しかし、技術士の場合はそうは簡単に答えられません。技術士とは名称資格であり、業務資格ではないからです。

しかし、「技術士とは何か?」に答えられないと、技術士試験、特に第二次試験に合格することはできません。第二次試験口頭試験では、技術的体験論文を提出しなければなりませんが、そこには「あなたが実際に経験した業務のなかで、技術士にふさわしいと思われるもの」を記さなければなりません。
「技術士とは何か?」が分からなければ、「技術士にふさわしい業務」を選択することができず、技術士が認識するべき問題発見、問題解決を解答することができません。ここでは、技術士とは何かを、簡単に解説することとしましょう。

1.技術士法の定義

技術士法第2条では、次のように技術士を定義しています。

「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての、計画、研究、設計、分析、試験、評価、これらの指導の業務を行うもの」(条文を一部省略)

これを見ると、「高等の」と「専門的応用能力」の2つがキーワードとなっていることが分かります。この2つのキーワードをさらに具体的に理解するため、次の定義を導入しましょう。

2.APECエンジニアの定義

APECエンジニア制度では、国際的に整合化された、専門職技術者の概念に沿って、次のように、APECエンジニアの定義を定めました。この定義は、業務経験に関わる件を除き、そのまま技術士の定義と合致します。「高等の」「専門的応用能力」を分析すれば、下記の能力を意味することになります。
(1)所定のエンジニアリング課程を修了
(2)自立して業務を遂行する能力
(3)7年間の実務経験
(4)2年間の重要な、責任ある業務
(5)継続的な能力開発
(6)行動規範の遵守
(7)行動の責任(法、その他要求事項)

3.プロフェッショナルの定義

技術士は、プロフェッショナルエンジニア(専門職技術者)です。プロフェッショナルの一般的定義も、考察する必要があります。それは、次のように整理することができます。
(1)体系化された理論に基づく専門的能力を保有する(専門職の個人属性)
(2)倫理規範に基づく業務の遂行能力を保有する(専門職の個人属性)
(3)能力と規範の推進のための職業団体を組織する(社会的仕組み)
(4)社会から存在意義を認められている(社会的仕組み)
(参考:プロフェッショナル宣言(日本技術士会))

4.すなわち

 技術士(プロフェッショナルエンジニア)とは、次のような技術者であるといえます。すなわち「技術士とは何か?」の答えがこれです。
(1)高等の専門的能力を持つ
(2)業務を自立して遂行することができる
(3)倫理規範を備えている

5.技術士の定義と第二次試験の業績論文

業績論文に記載するべき業績、およびそこで論述する問題発見・解決は、この3つの特性を備えていることが必要となってきます。下記の要件を備えた業績を、論文のテーマとすることが、第二次試験合格の重要なポイントとなります。

(1)高等の専門的応用能力
受験者自身が選択した部門、科目および専門とする事項、に含まれる分野の専門技術であること。
また、工学的にどんなに高級な理論を使っていたとしても、前例の単なる踏襲では技術士業務とは認められない。理論は並でも、創意工夫により問題を解決したものは、技術士業務として認められる。

(2)業務を自立して遂行
自らがイニシアチブをとって問題発見・問題解決をしたものであること。ここでは、職制上の立場(管理職、リーダーなど)に限定されず、実際の業務遂行において主体性を発揮したかどうかが問われる。ゆえに、管理職などの地位にあることが必須要件ではない。

(3)倫理規範
業務の目的、遂行手段が、法的にも倫理的にも妥当なものであることが必要。